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これは随分前の話になります。
私は何度かタクシーで嫌な目に遭っているため、あまりタクシードライバーを信用していません。
そのため、いつもタクシーを降りる際は自宅から少し離れた場所で降車し、タクシーが走り去るのを確認してから家まで歩いて帰るという方法をとっています。
或る日、いつものように出先からタクシーに乗り、いつもの降車場所でドライバーの方に「ここで止めてください」と声を掛けました。
それに対してドライバーは「えっ、脇道に入らなくていいの?」と聞いてきました。
私は「この辺でいいです」と返事をしました。
特に変った様子は無く、普通のやり取りでした。
ところが、タクシーが止まらない。
えっ、と思っているうちにどんどんタクシーは走り続け、私は恐怖でパニックになってしまいました。
誘拐? 拉致? 何処かへ連れて行かれる?
どのくらい走ったかは定かではありませんが、必死の思いで「止めてください!」と大声を出し、やっとタクシーは停車しました。
結局私はいつもよりはるかに高い運賃を黙って支払い、慌てて降車すると自宅から随分離れた場所から歩いて帰宅しました。
当時まだ若かった私はただただ無事にタクシーから降りられたことに安堵するばかりで、自分がどんなに理不尽な目に遭ったのか冷静に判断できませんでした。
今思えばきちんとドライバーの名前、タクシー会社名を覚えて被害を訴えればよかったと後悔するばかりです。
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